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いまの消費税増税を中心とする政局報道は、格好のメディアリテラシーの材料になる。この政局報道について、皆さんは、いかに分析していますか?おかしいのはわかるけど、分析と言われても…、という方が多いと思う。日本では、メディアリテラシー教育がされていないから、急に実践してみてって言われても困りますよね。
そこで、私なりに分析してみますから、皆さんのご意見を教えてください。
報道について、その背景にどのような力がかかっているかを考える場合には、まず、何をさておいてもするべきことは、その報道でだれが得をするか、という分析だ。
いまの政局報道で得をしているのはだれでしょうか?
報道に出てくるプレーヤーは、与党執行部、与党増税反対派、野党自民党執行部、野党自民党反執行部派、野党公明党、橋下新党…、くらいですかね。
では、これらのプレーヤーにとって、いまの報道が利益をもたらしているでしょうか?
橋下新党には有利に働いているようだが、それ以外の政党にとって、いまの報道が利益をもたらしているとは思えない。
政治家にとって、損得の最大の基準は、次の選挙で当選者が増えるかどうか、ということだ。いまの報道で、人気が出ているのは、橋下新党くらいだろう。
では、いまのごたごた報道は、橋下新党がマスメディアに何らかの影響を与えた結果なのだろうか?
そうは思えないでしょう。自民党や民主党と、マスメディアの関係に比べれば、橋下新党がマスメディアに対し、影響力を行使できるとは到底考えられない。
そこで、最初の問いに戻る。だれが得をしているのか?報道には出てこないプレーヤーはいないのか?それは得をしていないか?
そもそも、消費税増税は、財務官僚の発案だ。特別会計などの不透明な部分を残しながら、しかも、防衛問題など将来の国の在り方を考えもしないで、もっともとりやすい(金持ちから不満が出ない)消費税によって、自分たちが差配できる財布(歳入)を増やそうとするのは、政治家の発想ではない。政治家は、将来の国のあり方を議論し、そこへ向けて金の問題を検討するはず。
消費税増税できれば、財務官僚、それから各省の官僚にとって、こんなにありがたいことはない。パイが大きくなれば、自分の食べる分も増えるからだ。しかも、さらに、重要なのは、現在の天下り構造にメスを入れないまま増税が実現される、つまり、利権構造を維持することができるわけだ。
日本人は、一度、痛みになれれば、同じ痛みには鈍感になる。一度大幅増税を実現すれば、税率30%くらいまでもっていくのは造作もないこと。つまり、ここで消費税増税を議論もなく実現すれば、天下り構造、利権構造は、少なくとも21世紀中は盤石というわけだ。年金ではなく、利権が盤石というわけだ。
というわけで、報道にはあまり出てこない隠れたプレーヤー、官僚にとって、今回の報道は利益があるだろか?
どうですか?
彼らの望みはなんですか?できるだけ議論をすることなく、消費税増税を実現することですね。逆に言えば、消費税増税以外の方法による予算の確保について真剣に検討されることは避けたいわけです。
今回の報道によって、予算確保について真剣に検討されることを避けることができているかどうか?
いよいよ、核心ですよ。真剣に考えてみてください。
はたして、今回の報道は、増税以外の予算確保について真剣に検討されることを防いでいるかどうか…。
ここで、さらに、検討の視点を増やしてみましょう。今回の報道で最も、無理があるところ、不自然なところは何でしょうか?
「誰が得をするか」という視点に次いで重要な視点です。
無理がある報道、それは、「早期解散予測報道」です。
民主党衆議院議員は、前回の総選挙で、目いっぱい、当選した。次の総選挙では、明らかに当選者が減る。しかも、いまの世論調査では、自民党よりも人気がない。ここで、総選挙に打って出るのは自殺行為だ。民主党衆院議員で、次回選挙でも絶対に自分が当選できると考えている者は極めて少ないはずだ。いくら、解散は首相の専権とはいえ、自殺選挙をすれば、首相の責任も問われるため、首相の座を追われるし、政界での影響力も失う。
しかも、金の問題も絡む。
報道を考える際の視点のポイントの3つめは、「金の流れ」です。
政党交付金、民主党が第一党になってから、いくら増えたかご存知ですか?そして、ライバルである自民党がいくら減ったか?これは数十億円の単位です。
さらに、議員の収入は、主なものだけでも、給料が130万1000円(月額)、文書通信交通滞在費が100万円(月額)。このほか、政策秘書など3人分の秘書給与がもらえる。
任期はまだ一年以上ある。給料と文書等費だけでも月額230万円。年間2760万円。いま選挙することで100人が議席を失うとすると、27億6000万円。これをみすみす失うような判断(早期解散)をするはずがない。
ぎりぎりまで、人気を回復するような政策を行うことで少しでも落選者を減らすこと、民主党がするべきことはこの一点だ。
ところが、解散風を吹かせる報道が続く。もちろん、そんなことはないとは思っても、あれだけ報道されれば、任期いっぱいまで政治に真面目に取り組むことが難しくなる。しかも、次から次へと失言問題や、強引な鳩山批判などで、時間を稼いだり、与党内の離反をあおったりするから、どんどん、任期満了が近づいてくる。
本来、するべき議論、そもそも増税は必要なのか?それは消費税の増税でなければならないのか、という議論がなされないまま、任期が満了する。
官僚にとって、時期は問題ではない。もちろん、早いに越したことはないが(小沢問題があるため)、議論なき増税が実現されれば、利権構造を維持することができるからだ。
そう、この混乱のまま、増税が実現しないで来年の解散になっても、民主党も自民党も消費税を増税すると公約するのだから、官僚にとって何の問題もない。増税について、与野党間で合意無きまま進んで行っても、官僚の狙いは、早ければ、来年の9月には実現することになる。おそろしい…。
というわけで、今回の消費税ごたごた報道で、ほくそえんでいるのは、利権を維持できる官僚ということです。
そして、復習ですが、メディアリテラシーの3つの視点は、何だったでしょうか?
誰が得をするか?
報道で不合理な部分は何か?
金はどう流れるか?
の三つでしたね。
で、予習です。
一つは、前田武志国土交通相、田中直紀防衛相に対する問責決議が参院本会議で可決された後の、野党自民党と公明党の姿勢に対するマスメディアの報道のあり方について、です。どちら寄りの報道がされていますか?だれの意向がその報道の背景にありますか?
もう一つは、来週判決が下される小沢氏、彼が無罪となれば、消費税増税の前にもっとオープンな議論をするべきだという方向に傾く可能性がある。
そもそも、今回のG20で明らかになったように、日本はIMFに600億ドル(約4兆8000億円)を上積み拠出する力があるんですから、増税をすぐ決めなければならないという報道も実は極めて不合理だ。アメリカは、上積みゼロでっせ、ゼロ!日本は東日本大震災および原発事故で予定外の支出が莫大なものになるにもかかわらず、4兆8000億円も出せるんだから、すごいよね。
というわけで、予習の2つめ。小沢判決報道をリテラシってみましょう!
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「ICRP Publ. 111 日本語版・JRIA暫定翻訳版」(http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15092,76,1,html)
「緊急時被ばく状況における人々に対する防護のための委員会勧告の適用(仮題)=109」
(http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15290,76,1,html)
アメリカ科学アカデミーの文献「BEIR-VII」(Biological Effects of Ionizing Radiation-VII、電離放射線の生物学的影響に関する第7報告)
http://archives.shiminkagaku.org/archives/radi-beir%20public%20new.pdf
◆東電本社の記者会見は、午前11時~正午から、午後6時ごろからの2回となっている。インターネットで生中継と録画配信されている◆
→ ニコ生 http://live.nicovideo.jp/
岩上さんのサイト http://ow.ly/4wCEr
◆東電会見に出席し続けている木野龍逸さんへの支援金の振込先口座は下記のとおりです。
郵便局の振替口座
口座番号は、00100-5-362362
口座名称は、木野龍逸支援の会(キノリュウイチシエンノカイ)
なお、銀行からの場合、
ゆうちょ銀行
〇一九店
当座預金
0362362
にお願いします(できれば郵便局の振替でお願いします)。
【日弁連の東日本大震災・原発事故災害復興支援活動】
→ http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/higashinihon_daishinsai.html
●沖縄への連帯ツイッターキャンぺーン●
【ツイッターアカウント】@BarackObama
【メール】→http://www.whitehouse.gov/contactから
【ツイッター例文】
JAPAN IS NOT US'S COLONY! We won't support US BASE. All US BASE OUT! from our country.
Please HELP Okinawa. 75% of the American bases in JP is in the islands, only 0.6% of JP land. Relocate #Futenma base outside.
Marine in Futenma must go back to your country. There is no place where the base of Marine is acceptable in Japan.
Okinawa and a lot of Japanese oppose the transfer of the Futenma base to Henoko
At least180 MPs of ruling parties say NO to Futenma relocation within Okinawa. Check this http://bit.ly/9jQIW8
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて:Gilbert's Nuremberg Diary)
★News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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