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前田国土交通相、田中防衛相に対する問責決議が参院本会議で可決されたが、野田首相は両閣僚の更迭を拒否した。これに対し、両大臣の辞任を求める自民党は国会での審議を全面拒否することとした。他方、同じく問責決議に賛成した公明党は、2大臣の所管にかかわる審議のみを拒否することとした。
自民党全面拒否、公明党一部拒否、この違いについて、新聞各紙はさっそく社説などで批判している。この批判のありようについて「リテラしましょう」、というのが、予習の課題でした。
この両党の在り方について評価するためには、
前提として、【首相が政治生命を懸けても可決するという消費者増税法案。全面拒否はこの法案の審議までも拒否することを意味する】という事実がある。この事実を受けて、
①重要法案待ったなしなのだから、公明党のような一部審議拒否が望ましい。重要法案を優先するべきだ。
という見解もあろう。 また、
②野田首相が本気なら、2閣僚の更迭を行うはず。ここで野党は足並みをそろえ、全面審議拒否を貫くことで、国防を預かる重職により適切な人材をあてさせ、かつ、正常な国会運営を実現するべきである。
という見解もありうるだろう。
で、実際には、どうか?
【自民党も頭を冷やしてほしい。古色蒼然(そうぜん)とした全面審議拒否戦術は多くの国民の目に責任放棄としか映るまい。公明党が一線を画したことを重く受け止めるべきだ。】(毎日 http://mainichi.jp/opinion/news/20120421k0000m070130000c2.html )
【だからといって一気に閣僚問責へと突っ走った自民党に味方する気にもなれない。首相の解散権が及ばない参院での問責に法的根拠はない。問責すれば審議拒否が正当化され、閣僚が辞任に追い込まれてきたのは慣例にすぎない。
切り札はやむにやまれず切るから意味があるのであって、日常茶飯事になれば切れ味は鈍る。現に2閣僚辞任まで衆参両院のすべての審議に応じないという自民党の方針には、党内外に異論がある。審議拒否ありきでは困る。】(日経 http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE6E2E4E6E0E3E5E2E0E3E2E6E0E2E3E08297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D )
【衆院の不信任決議と違って、参院の問責決議には法的拘束力がない。それなのに、野党は錦の御旗のようにして閣僚交代を迫る。衆参ねじれ国会を背景にした、こんな悪弊は断ち切るべきである。
とくに問題なのは自民党だ。前田、田中両氏が辞任するまで全面的に審議を拒否するという。
自民党は、野田首相が消費税率引き上げ関連法案で自民党に協力を求めている以上、両氏の更迭に応じると踏んでいるのだろう。
だが、自民党は政権の座にあった時には、「審議拒否は国会議員の職場放棄」と野党を批判していた。その言葉を忘れたのか。
国会終盤ならまだしも、重要法案の山積する会期半ばである。古賀誠元幹事長ら党内からも審議拒否を疑問視する声が出ている。
公明党は、審議拒否を前田、田中両氏が所管する委員会にとどめる。野党の足並みの乱れを見ても、自民党の全面審議拒否に無理があるのは明らかだ。】(読売 http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120420-OYT1T01229.htm )
【問責可決―自民は職場放棄するな
野田内閣の2閣僚に対する問責決議がきのう、参院本会議で可決された。 しどろもどろの国会答弁を続ける田中直紀氏に、防衛相を任せるのは不安だ。前田武志国土交通相も、大臣の肩書を使って所管業界に選挙での…】(朝日・有料なので一部のみ引用)
いずれも21日の社説です。すべて、自民党を批判している。足並みが完全にそろっている。ただ、自民党支持を明確にしている産経は、オピニオン欄で取り上げていない。
で、分析です。少なくとも、今回の記事では、自民党の影響はなかったといえる。では、公明党の力なのか?印刷などの点で関係があることが伝えられる毎日はいざ知らず、読売などが自民党よりも公明党の影響を受けるということは考えられない。
とすると…。
やはり、ここでも、消費税増税を実現したい官僚の影響があるというほかない。
自民党は、次の選挙で勝たなければ、分裂の可能性がある(民主党もだが…)。また、野党の悲哀をかみしめており、政権与党復帰に向けた戦略を優先するほかない。
消費税増税は、格好の材料だ。増税法案が成立する前に解散すれば、有権者はやはり、政権与党である民主党に対しノーをつきつけることになる。冷静に考えれば、自民党も増税派だから、民主党だけでなく、自民党にも不利に働くはずだが、管首相のもとでの参院選の結果、与党と野党が同じ増税を言っても、現実に政権を握っている与党に対する反発の方がはるかに大きいことが明確になっている。
したがって、自民党は、①まず、解散→②そして、政権を獲得→③増税という線は譲れない。
これに対し、官僚は、とにかく、消費税増税案を通したいというのが最大の目標だ。いま、ここで、消費税増税案の審議に入れば、自民党も賛成せざるを得ず、確実に消費税増税が実現される。
ところが、まず、解散という自民党の方針に従った場合、民主党小沢派や橋下新党が選挙でどの程度票を伸ばすか不明確なため、消費税増税の前に、官僚の利権構造を徹底的に崩されてしまう可能性がある。もちろん、選挙の結果、民主党の増税派、自民党の増税派、公明党を合わせれば過半数を獲得する可能性は大きい。しかし、リスクを回避しようと思えば、解散前の増税案成立が望ましい。
そこで、今回のような社説になったと考えることが可能だ。
だれが得するか、明らかに不合理な内容はないか、金の流れはどうか、というポイントから見ると、
消費税増税法案を通過させる方向の記事なので官僚が得をする、明らかに不合理な内容は見当たらないが、自民党批判の言葉がかなり辛辣な感じがする、金の点では官僚の天下り構造の維持ということがある…、というわけで、官僚から何らかの影響を受けることがありうるという結論になる。
もちろん、「全面審議拒否がおかしいのは当然なので、偶然、足並みがそろっただけだ」とみることもできる。
しかし、自民党と官僚の意向が違う場合、大手新聞がどちらの意向をより気にするか、ということは明確になったと思う。
次の予習は、小沢判決報道について「リテラしましょう」というものです。来週末に、みんなで考えましょう!
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★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
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